2021.03.20

–土地活用–【競争しない賃貸住宅 vol. 2】

◎コラム 設計事務所と考える賃貸住宅 

▪個性的な外観デザインは本当に集客効果があるか
雰囲気だけの表面的なデザインはかえって時とともに古さを感じさせる可能性も

ランダムなバルコニー

自転車を部屋に持って上がれるよう居室に土間を設け駐輪場をなくすことですっきりとした美観の広い1F店舗を実現。居室にも店舗にも価値を付加





—建物の外観は確かに重要だが

賃貸集合住宅の経営は無理のない収益計画があってこそ成り立つ事は前提として、できることなら計画以上になるように入居者にアピールできる、わかりやすい付加価値のある建物をと考えることは戦略的にありだと思います。その際設計事務所に期待されることは、外観や内装をスタイリッシュにするなどのいわゆる「見た目デザイナー賃貸」にすることですが、それは本当に将来に渡る競争力となるのでしょうか。
新築であれば、その時代のマーケティングで求められるものは確かに集客手段の一つになると言えます。ただ、危惧するところがあるとすると、差別化だけに終始した表面的なデザインは時とともに時流をはずれ、かえって競争力を失うことになりかねません。
私達は設計時に「時代に左右されるデザインの記号を持たない」「その土地の場所や特性を考えた丁寧な企画・設計をすることで表れるユニークさ」「設定した家賃がいつの時代でもコスパの良いものに感じられる“住みたい!”と思える空間のポイントを追求する」ことを考えます。つまり、時代にかかわらず住み手を引きつけることは何かという視点で建物を見ることをご提案するようにしています。
ケースバイケースで解答を導き出すことが必要で一見手間がかかり大変そうですが、企画の段階でよく練られ、方針のはっきりした建物は、自ずと外観と生活空間に整合性がある目を引くデザインとなります。先のことを見通すことはだれにもできませんが、時代を超える魅力を持つ建物をつくる事は可能です。

バルコニーのランダムな形状や土間空間に居住者が置く植物や自転車など、生活の気配を縦に積み上げ、外から見ても賑わいを感じられることを意図した テナント+賃貸





◎コラム 設計事務所と考える賃貸住宅 
【競争しない賃貸住宅 vol.1】  ▪建物は環境をつくることができる
【競争しない賃貸住宅 vol.2】  ▪個性的な外観デザインは本当に集客効果があるか
【競争しない賃貸住宅 vol.3】  ▪レンタブル比MAXだけで大丈夫か
【競争しない賃貸住宅 vol.4】  ▪ずっと新築のまま、という建物はありえないなら…
【競争しない賃貸住宅 vol.5】  ▪本当の差別化とはなんだろう