Design Process
〔Q&A〕設計事務所と家づくりQ&A 50 ①
①まずは入口の話(最初の疑問・誤解・きっかけ)
― 注文住宅へのアプローチ ―
ここでは注文住宅を建てようとお考えの方に向けて、
設計事務所・工務店・住宅メーカーの違い、
家づくりの流れ・費用・打ち合わせの進め方などを、
FEDLの視点から正直にお話ししています。
家づくりはほとんどの方にとっては初めてのことですから、まずは情報を集められることと思います。
情報を集めていくと頼む先も、工務店、メーカー、設計事務所それぞれに特徴や違った強みがあり、考え方も進め方も同じではないことが漠然とわかってくることでしょう。
しかし、ある人にとってのメリットが別の人にとってはデメリットになり、その逆もまたあります。
情報を集めれば集めるほど正解がわからなくなることも……。
大きな決断に際してはなるべく情報を網羅して調べたいと思うのは当然です。
ネットの情報も知人の経験上からの意見も、どれも間違っていないと思いますが、
すべて“どこから光を当てているか”によって見え方は変わります。
家づくりの本当の課題は、情報を選ぶことよりも自分たちがどう暮らしたいのかを知り
“自分に合う考え方”を見つけることにあります。
このQ&Aでは、一般的な質問に対して、
設計事務所の視点から正直な考えをお答えしています。
ときには、設計事務所以外の選択肢が向いている場合にも触れています。
なぜなら、家づくりに最も大切なのは「相性」だと思うからです。このQ&Aが、家づくりをされる方に合った「自然な依頼先」を見つける
小さな手がかりになれば嬉しく思います。
①まずは入口の話(最初の疑問・誤解・きっかけ)
Q1. 設計事務所に頼むとデザインが奇抜になる?
A.そう見える場合が目に付きやすいですが、端正な建物もまた多いと思います。
メーカーや工務店に比べて個性的な建物は多いかもしれません。もし奇抜に見えたとしたらその理由は一つではなく、建物の設計さまざまなプロセスによる結果だと思います。
設計事務所(建築家)といっても、建築に対するアプローチは様々です。
(中には本当に変わっているとしか見えないものもありますが……。)事務所それぞれの多様性によってできあがる建物の幅も広いのが設計事務所の注文住宅の特徴です。
〔column〕設計事務所と家を作る理由 建築設計事務所の5つのタイプ
依頼があっての事なので、ほとんどの建物は建て主の方にとっては、毎日暮らしていくほどに納得いくものになっているのではないかと思います。
Q2. 設計事務所に頼んでうまく行く人はどんな人ですか?
A. 暮らしを自分で作るのが好きな人。家を “買う” というより “造る” 感覚を楽しめる方が多いです。
といっても、ご依頼頂いた方が設計に関わる方法は様々です。大きな指針だけ示してあとはほとんどのことをお任せ頂く場合から好みのデザイン的なテイストがあって、ある程度一緒に考えていく場合まで、依頼される方によって柔軟に対応できる事務所が多いと思います。
FEDLの場合もいろいろなスタンスの方にご依頼頂きますが、どの場合でも設計途中にCGや模型などでご確認いただき、難しそうな設備などもわかりやすくご説明しながら進みますので、勝手に設計が進んでしまうことはありません。
注文住宅の設計は、外観、空間性、外部との関係、機能、素材、インテリア、庭などの多くの要素を、クライアントのご要望を汲みながら設計していくので、「造る」過程がお好きであればぜひ数少ない「家を造るという経験」を楽しんで頂きたいと思います。
Q3. 設計事務所は建設する会社ではないんですね?
A. はい。メーカーや工務店とは明確な違いはそこになります。
メーカーや工務店住宅は設計と施工は同じ会社が請け負います。一方設計事務所では施工は別の会社が行います。設計事務所は施主に向き合いながら設計図を作成し、工事では施主の代理となり施工業者に対して施工金額の見積もりを精査し、工事がきちんと行われているかをチェックしながら、実際に作る様々な職人さんと協働して最適な建物ができるように導いていくのが仕事です。
この部分は大きな違いと言えますが、意外と意識されていないところです。
Q4. 高そう、という印象があるのですが?
A. 高いとも言えますし、そうでもないとも言えます。
メーカーや工務店のように規格のある注文住宅は、大量仕入れ、規格部材による工事の効率化などで、仕様の範囲内であれば坪単価を抑えた建物を建てることができます。設計事務所の注文住宅は、ゼロからの設計なので全てを0から設計、施工も毎回違うものをつくるので手間がかかります。少し極端な例ですが、プラモデルでキットを使って組み立てるか、オリジナルプラモデルの部材の設計から考え、一つ一つの部材を削り出して造るか、というイメージで考えてみることができます。
ただ、設計事務所の注文住宅では、素材の選び方やコスト配分の場所を調整できる柔軟さがあり、また、建設費の見積もりに対して客観的に適正な建設費かどうかを細かくチェックしたり、デザイン性を残しながらコストに納めるための新しい提案などが可能で、結果的に “賢いコスト設計” が可能です。
設計料に関しては設計施工の会社が提示する料金より高いと思いますが、前述のような細かい設計と施工費の適正化を鑑み、プロジェクトの総額と家に求めることのバランスで判断していただければと思います。
Q5. 打ち合わせでは何を話せばよいですか?
A. 最初から“理想の住宅”が明確でなくても構いません。何気ない会話の中に、暮らしのヒントが隠れています。日々の生活や習慣、やりたいことなどを伺いながら、新しい場所での生活を一緒に想像していきます。
たとえば、最初は「寝るときは暗い方が良いですか?」とか「お洗濯ものはどこで畳みますか?」など、生活の質問をしたり、趣味について雑談をしたりしながら新しい場所での生活をお互い想像していきます(当たり前のような日常も人によって常識や重要に思うことには結構違いがあるものです。)または、いいなと思う写真を見せて頂きながら取り留めなくお話をいただくなど、家のコンセプトはそういった飾らない会話の中から生まれます。
Q6. 土地が決まっていなくても大丈夫?
A. もちろん大丈夫です。
設計事務所にもよりますが、ほとんどのところは土地を決めるにあたってのアドバイスをしていると思いますので是非聞いてみて下さい。土地の段階から相談していただくと、どんな建物が建つか、どんな可能性があるかが整理しやすくなります。むしろ一緒に土地を見ながら話をすることで建物や暮らしへのご希望についても理解が深まります。FEDLでは、弊社で設計をお考えくださっている場合、購入前に一緒に現地に足を運んだり、その土地にどんな建てものが建つかのボリュームチェックなどをしています。
Q7. 家づくりは何から始めればいいのでしょう?
A. おそらく最初は情報収集をされていると思いますが、百聞は一見にしかずです。
たくさんの情報をネットでざっと見たら、住宅展示場やハウスメーカーに行ってみたり、同じように設計事務所のオフィスにも訪ねてみてください。ネットでの情報は、実際に住宅設計の現場にいる私達でも「ある面で見ればそうだけど、現実はもっと複雑(あるいは単純)なのに」と思う事が。実際に対面で質問してみると、今まで見ていた情報が整理され、それぞれの特徴がわかってくると思います。
また、メーカー、工務店、建築家の特徴をよく知り、相談することでどこに依頼するのが良いかを無料でアドバイスしてくれる、プロフェッショナルな注文住宅のマッチングサービス会社などもあるので利用してみると客観的な意見をもらえます。
弊社でも家づくりについてや設計時の疑問、質問などを対面でもオンラインでもお受けしています。設計事務所でどんな風に設計が行われているか、事務所見学を兼ねてお気軽にお越し下さい!
(毎月第2、第4土曜日に相談会をしています。また時間が空いていれば平日でも相談可能ですのでご連絡下さい。オンラインでのご相談も可能です。(予約制)お問合せはこちら)。
Q8. 設計事務所に頼むと家の完成が遅くなりますか?
A. はい。その傾向はあります。
一般的に、設計は規模と工法により6ヶ月〜8ヶ月程、施工は6ヶ月〜10ヶ月程かかります。期間は設計の内容や家の大きさなどによって変わりますが、構造、設備、インテリアなども含めて沢山の可能性から最適なものを選び、設計するためにはこのくらいの期間がかかります。設計内容を理解しながら一緒に進みたいと思われているお客様にとってはその期間はそれほど長い時間ではなく、かえって短いくらいだと思います。また、施工に関しては、規格通りに建てるメーカーや工務店の様にはいかず、(その建物の構成によりますが)建設機関を短縮することは難しい事が多いのが現状です。これらの事からゼロから考える注文住宅は相対的に見て少し時間がかかる傾向ではあると思いますが、せっかくこだわって、人生の長い期間を過ごす家を建てることを考えると、数ヶ月の違いは丁寧に造るための時間だと考えて、完成までの期間を一緒に楽しんで頂けると幸いです。
Q9. 家族が意見バラバラで困っています。
A. はい。それは本当に普通のことですから大丈夫です!
ここで、設計期間が半年に及ぶことが重要になってきます。設計の過程でそれぞれの考えが折り合う時間があり、できていく家の設計がだんだん現実味を帯びてきて、全員がそれぞれの条件に対して可能なこと、不可能なことの理解が進んできて変化が起こります。FEDLとしては、違う価値観を最初からむりやりひとつにまとめるのではなく、いろいろな意見を “ひとつの風景として調和させる” のが家づくりの醍醐味だと思っています。
これを機会に家族で色々な事を話し合う時間も楽しんで頂けると私達もうれしいです。
Q10. 一度相談したら、断れませんか?
A. もちろん断れます(笑)?
ご相談は、家づくりのあれこれわからない事を質問する(と事務所の様子を探りにいらっしゃる)ぐらいのお気軽な感覚でいらしてください。私たちも “相性” を大事にしています。最初にお話をしてお互いに安心して考えを言える空気がつくれるかをぜひ確認してください。
(毎月第2、第4土曜日に相談会をしています。また時間が空いていれば平日でも相談可能ですのでご連絡下さい。オンラインでのご相談も可能です。(予約制)お問合せはこちら)

②Q11〜に続く(近日公開)
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