〔Q&A〕設計事務所と家づくりQ&A 50 ①

― 注文住宅について考える ―

ここでは注文住宅を建てたい方に向けて、
設計事務所・工務店・住宅メーカーの違い、
家づくりの流れ・費用・打ち合わせの進め方などを、
私たちの視点から、正直にお話ししています。

◎このページを訪れてくださった方へ

家づくりを始めるときに、「どこに頼めばよいか」についてもいろいろ情報収集されると思います。
工務店、メーカー、設計事務所、そして設計事務所の中にもそれぞれ特徴があります。
それぞれに違った強みがあり、考え方も進め方も違います。
ある人にとってのメリットが、別の人にとってはデメリットになることも、その逆もまたあります。
情報を集めれば集めるほど、正解がわからなくなる……。
そんな経験はありませんか?
ネットの情報も人の経験上の意見も、どれも間違っていないと思いますが、
すべて“どこから光を当てているか”によって見え方は変わります。
家づくりの本当の課題は、情報を選ぶことよりも、
“自分に合う考え方”を見つけることにあります。

このQ&Aでは、一般的な質問に対して、
設計事務所の視点から正直な考えをお答えしています。
ときには、設計事務所以外の選択肢が向いている場合にも触れています。
なぜなら、最も大切なのは「相性」だと思うからです。
例えば、私たちFEDLで言えば、設計する注文住宅はどんな形・間取り・デザインの家にするかよりも先に、どんな暮らしや特別な時間を過ごす場にしたいかを一緒に考えることからはじまります。
具体的、物理的な条件をクリアしながらその暮らしの核が固まっていく過程が、私達の注文住宅の設計スタイルと言えます。(もしそれについて興味があったり、わからないから少し話してみたいと思われたらメール、インスタのDMより気軽にご連絡ください。お電話ももちろんOKです)

このQ&Aが、あなたにとっての「自然な依頼先」を見つける
小さな手がかりになれば嬉しく思います。家づくりは正解を探す作業ではなく、自分の思考を整理していく良い時間にもなるのではないかと私達は考えています。

——FEDL一同

①まずは入口の話(最初の疑問・誤解・きっかけ)

Q1. 設計事務所に頼むとデザインが奇抜になる印象があります。

A.そう見えることもあるのは、「その人に合わせた形」が既製の型から外れているからかもしれません。

一般常識からすると変わっている設計もありますが、万人に受け入れられるものが本当に良いものだとは限りませんし、その昔は奇抜に見られていた事が今では一般的にみんなが取り入れていることもあります。ただの奇抜かそうでないかは時間の経過が証明してくれます。
FEDLの設計で言えば、奇抜さを狙うことはなく、むしろその人の暮らしに必然の形を探しています。そして街中であれば周辺地域に良い影響が波及できるような、自然の中であれば、その景色と調和するようなデザインをご提案したいと思っています。

Q2. 設計事務所に頼んでうまく行く人はどんな人ですか?

A. 自分で考えることが好きな人、暮らしを自分で作るのが好きな人。家を“買う”というより“発見する”感覚を楽しめる方が多いです。

といっても、ご依頼頂いた方が設計に関わる方法は様々です。大きな指針だけ示してあとは設計したものに対する判断だけでほとんどのことをお任せ頂く方や、好みのデザイン的なテイスト(インテリア)などを一緒に考えていく方まで、その方に合わせたお打合せの方法で設計を進めています。ただしすべての場合進行途中はCGなどでご確認いただき、設備なども説明しながら進みますので、勝手に設計することはありません。
注文住宅の設計は、外観、空間性、外部(自然や周囲)との関係、機能、素材、インテリアなどの要素を住む人のご要望を元に設計していきますが、もしこだわりたい要素が1つか2つで、それに合う建物を建てているメーカーや工務店があれば、その会社に依頼することで満足できる家になる確率が高い思います。
一方でたくさんの要素に対してこだわりがある、もしくはこだわっている事をかなえるメーカーや工務店がないなどの場合は、設計事務所に頼んでうまくいくかというより、「設計事務所とうまくコラボする」というチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。

Q3. 設計事務所は建設する会社ではないんですね?

A. はい。

メーカーや工務店の住宅は設計と施工が一緒になっていますが、設計事務所では施工は別の会社が行います。設計事務所は施主に向き合いながら設計図を作成し、工事では施主の代理となり施工業者に対して見積もりを精査したり工事がきちんと行われているかをチェックしながら、実際に作る様々な職人さんと協力して最適な建物ができるように導いていくのが仕事です。

Q4. 高そう、という印象があるのですが?

A. 高いとも言えますし、そうでないとも言えます。

メーカーや工務店の規格のある注文住宅は設計範囲や部材が決まっている分安くなりますが、設計事務所の注文住宅はゼロからの設計なので製作コストやそれに全てをアジャストしていく設計費用がかかります。
ただ、設計段階で素材の選び方やコスト配分の場所を調整できる柔軟さがあり、また、建設費の見積もりに対して客観的に細かくチェックしますので、適正な建設費やデザイン性を残しながらコストに納めるためのアドバイスなどが可能で、結果的に“賢いコスト設計”が可能です。
設計料に関しては設計施工の会社が提示する料金より高いと思いますが、前述のような細かい対応と施工費の精査などによる金額の適正化による内容を総額で考えた時には決して高くないと思います。
逆に、メーカーや工務店でその会社の規格の仕様を越えて様々な事を変更したい場合は費用がが高くなってしまう可能性があるので、コスト面から考えたときには多くの変更はしない方がメリットがあると思います。

Q5. 打ち合わせでは何を話せばよいですか?

A. “理想の住宅”が明確でなくても構いません。何気ない会話の中に、暮らしのヒントが隠れています。日々のリズムや習慣を伺いながら、新しい場所での生活を一緒に想像していきます。

たとえば、最初は「寝るときは暗い方が良いですか?」とか「お洗濯ものはどこで畳みますか?」など、生活の質問したり、雑談をしたりしながら新しい場所での生活をお互い想像していきます(当たり前のような日常も人によって常識や重要に思うことに結構違いがあるものです。)または、いいなと思う写真を見せて頂きながら取り留めなくお話をいただくなど、家の形はそういった飾らない会話の中から生まれます。

Q6. 土地が決まっていなくても大丈夫?

A. もちろんです。

土地の段階から相談していただくと、どんな建物が建つか、どんな可能性があるかが整理しやすくなります。むしろ一緒に土地を見ながら話をすることで建物や暮らしへのご希望についても理解が深まります。

Q7. 家づくりは何から始めればいいのでしょう?

A. おそらく情報収集をされるところからだと思います。

百聞は一見にしかず、たくさんの情報をネットでさっと見たら、住宅展示場やハウスメーカーに行ってみるのと同じように、設計事務所のオフィスにも訪ねてみてください。
弊社でも家づくりについてや設計時の疑問、質問などを対面でお受けしています。設計事務所でどんな風に設計が行われているか興味がてらの事務所見学を兼ねてお気軽に予約してください(毎月第2、第4土曜日、平日でも時間が空いていれば可能ですのでお問合せ下さい。オンラインも可能です。お問合せはこちらから

Q8. 設計事務所に頼むと家の完成が遅くなりますか?

A. その傾向はあります。

設計は規模と工法により6ヶ月〜8ヶ月程、施工は6ヶ月〜10ヶ月程かかります。設計時間の長さはどちらかというとお打合せで納得して前に進むための速度です。
お客様が迷う点は重要なポイントであることも多いので最終的に後悔が少なくなるために、ある程度理解しながら進むための必要な時間だと思います。時には「設計は全面的にお任せします」ということもあり、その時は比較的最短で設計ができることもあります。しかし、施工期間は(その建物の構成によりますが)プレファブや規格住宅の様には早く建設できない事が多いので、ゼロから考える住宅は相対的に見て時間がかかる方向ではあると思います。

Q9. 家族が意見バラバラで困っています。

A. はい。よくあることですから大丈夫です!

設計期間が半年に及ぶことがここで重要になってきます。設計の過程でそれぞれの考えが折り合う時間があり、できていく家の設計がだんだん現実味を帯びてきて、全員がそれぞれの条件に対して可能なこと、不可能なことの理解が進んできて変化が起こります。私達としては、違う価値観を最初からむりやりひとつにまとめるのではなく、“ひとつの風景”として調和させるのが家づくりの醍醐味だと思っています。
これを機会に家族で色々な事を話し合う時間を楽しんで頂けると私達もうれしいです。

Q10. 一度相談したら、断れませんか?

A. もちろん断れます(笑)

一度目のご相談は家づく全般を親戚に相談するくらいのつもりで(と事務所の様子を探りにいらっしゃる(笑))ぐらいのお気軽な感覚でいらしてください。私たちも“相性”を大事にしています。最初にお話をしてお互いに安心して考えを言える空気がつくれるかをぜひ確認してください。(毎月第2、第4土曜日、平日でも時間が空いていれば可能ですのでお問合せ下さい。オンラインも可能です)

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section2 Q11〜に続く(近日公開)

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