Projects
Kiseki no IE 軌跡の家
Information
Episode
建主はドイツ人と日本人のご夫婦。いくつかの国での仕事を経て東京での赴任期間を終えて、引退とともに新しい生活を始めるために選んだのは妻のご実家の広い敷地の一部、都心から離れ、第二の人生を楽しむために、夫の趣味である昔のBMWをレストアするためのガレージをつくり、友人や家族が集まって広い庭で四季を感じながら過ごせる家を依頼された。
東京都心から約一時間、住宅地として開発が進む地域にありながら、雑木林や田畑など深い緑と季節を十分に感じることのできる自然に囲まれた典型的な都市のエッジ部分に敷地はある。高齢のご両親とスープの冷めない距離で暮らしながらボランティア活動などにも積極的なアクティブな妻の活動や地域の人との交流も考えて、朗らかでオープンなご夫妻のこれからの活動の中心となる、楽しくなる人が来やすい家にしたいと考えた。
Planning
ランドスケープをつくる
今回の土地は500坪と広く、庭と建物を同時に計画していった。敷地にはご両親が30 年以上かけて少しずつ植えて育ててきた多様な樹木が無造作に植えてあった。大きな木が育っていることは広い庭を造る上で一からすべて植えなくて良いのでありがたいことではあったが、計画されずに雑木林のようになっていたので、建物と良い調和をもてるように
樹の健康状態や寿命を見極めながら大がかりな移植を行い、庭に面する各部屋の窓から違った景色が眺められるよう配置した。
また基礎をつくるときに掘った土を緩やかな築山にし、芝生の広い庭が一本調子にならないように起伏のある大地を造った。
シンプルな建築計画と造園計画による景色づくり
母屋は東西に長い長方形の間取りで、両端に行く程天井が高くなり、風や人の視線が空に向かって通り抜けていくような空間を意識した。また寝室とバスルーム以外はほぼ一つの部屋として繋がり、南の庭に対して全ての部屋の開口が大きく取るシンプルな構成。
敷地が広い事もあり、二人暮らしである割に広い家を所望されたクライアントに対して将来の家の維持管理なども考えて、奥行きはコンパクトに保ち庭に向かって深い庇とテラスをつくることで実際の部屋より広がりがあるように感じられるように提案した。
庇とテラスは日射しや雨、風、雪などの自然との干渉帯としながら、外が気持ち良い季節には軒下のアウトドアリビングとして機能し、また庇が室内側から見たときに庭の景色と空を切り取りすぎないように少し高めにすることで軒の存在を感じないようにコントロールした。
ガレージライフ
車2台分のガレージにはピットと工房、昔のBMWをレストアする時に二度と手に入らなくなるかもしれない部品倉庫としてのロフトスペースがある。小屋組には地元の古民家を解体したときに出た古材を使いこの地域の伝統的な工法の化粧造りで組み上げた。BMWのレストアと古材の小屋組とのマッチングはウエブで活動を海外にも発信している夫のスタイルあるガレージライフを象徴する建物になっている。
構造と設備
基本的には在来軸組工法であり、構造用合板貼りの壁を耐震要素としている。 母屋は長細い平面形状に対して短手方向の耐震壁が両端部に寄っているため、ほぼ 2 層吹き抜けとなっている中央のリビング・ダイニングに柱 120 × 270、梁 120 × 360 の木質ラーメンフレームを 8 フレーム挿入することで剛性を確保し、耐震性とともに庭に対する大開口 の確保にも一役買っている。 ガレージは重い古材の小屋組を支持するために 210mm 角の柱を内側に配置し桁材を受けており、水平力に対しては外周の耐力壁が負担している。
隣のゴルフ場の松の木から大量の松葉が降ってくるので中央の窪んだ屋根に雨水を集め縦樋は1箇所だけにしてメンテナンスがしやすいようにした。
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- Status
- Completed 2012
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- Category
- New Construction
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- Location
- Ibaraki, Japan
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- Program
- Residence
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- Structural Type
- Wooden
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- Architect
- FEDL
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- Project Team
- Takanori Ihara, Kazumi Murayama
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- DesignFacilitator
- Tomoko Ihara
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- Structural Engineer
- frameworks
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- Landscape
- FEDL, Tomoko Ihara
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- Gardener
- Susumu Yokoshima
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- Construction
- Watanabekenko
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- Photographer
- Hideki Ookura