Design Process

〔column〕街中の家・自然の中の家

FEDLでは、集合住宅、商業建築、レストラン、オフィスビル、倉庫、小型飛行機の格納庫など、様々な建築物を設計していますが、とりわけ住宅設計は人の暮らしと建物についての多様なありかたを考えさせられます。

完成後の運営の成功という同じ目標に向かってクライアントと一緒に進む建物とは異なり、住宅設計は、それぞれに違った考え方や背景を理解しそこに住む人の様々な思いを聞き取り調整します。優先順位は何か、新たな提案を受け入れてもらえるかなど試行錯誤しながら、住む人の将来の暮らしをイメージして設計することは簡単ではありませんが、設計が深まるとともに新しい人生を生きているような感覚になる意義深い時間です。
そこに住む人の思いが設計過程で入ることで、合理性だけではない「何か」が家に宿ります。

住宅設計の基本はそれとして、実は住宅設計には大きく二つのタイプがあると思っています。
それは街中の住宅とそれ以外の住宅の設計です。

建て込んでいる都市部では様々な制約があり、気が抜けない困難が降りかかるゲームを一つ一つクリアしていくかのようです。主に法規、消防などに関わる制限により、斜線による建物の形やまどり、仕上げや窓のデザインへの影響、ローンや補助金の時間的制約、近隣との関係から窓や室外機の位置の調整、狭い場所での工事の段取り予測、大きな家具の搬入経路、小さな敷地に目一杯の建物を建てるための様々な工夫、バルコニー一つとってもその場所の行政の規則の違いを理解して考える必要があるなど、クライアントのご要望をかなえながらこれらをうまく納めて設計することは設計の経験値や引き出しと想像力を試されます。それらをクリアしながらプライバシーを担保しつつ、できる限り解放的な空間になるように設計していきます。

地下を明るく利用する為の工夫。1階にステップフロアを設けその間から自然光を取り入れる
二世帯住宅
斜線を利用して空に向かって視線が開けるようなワンルーム空間をつくる


もう一つは自然の中にゆったりと建てる家。もちろん守らなくてはいけない法規や各地域の気候風土の厳しい自然に対応する必要がありますが、敷地や法規の制限が少ない分、建物設計の起点を自ら決め、住む人の暮らし方や周辺の環境と自然をどのように建物として結晶化するかを委ねられます。設計の姿勢と力量を純粋に試されるので制限が少ないからと言って簡単ではありません。

自然の中の家
のびのびとした平屋だが、庭の設計と同時に行う事で窓からの景色は各部屋で変化がある
様々な可能性がある制限の少ない敷地で設計する時は自然との関わり方は一つの手がかりとなる

同じ設計でもそれぞれ違う脳の筋肉を使っているようなところがありますが、両方を考えることで鍛えられ、引き出しが増えてそれぞれの設計に生かされているように思います。

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◎コラムに掲載の住宅

都内の複雑な地形に建てられた家
都内狭小地の二世帯住宅
500坪以上の土地に建てた平屋の終の棲家
景色の良い崖の上のセカンドハウス